徴税吏員の逡巡

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行政財産の貸付けと使用許可

参院議員の山内俊夫容疑者が、羽田空港の格納庫の売買を巡る業 務上横領の疑いで逮捕された、とのニュースです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE280W30Y1A121C2000000/

格納庫の土地は国有地で、賃貸会社は国交省に支払う土地使用料を滞納。売買契約の際、約28億円のうち2億8000万円を滞納金の支払い分として分別管理することで合意し、賃貸会社の代理人弁護士が現金を保管していた。こうしたなか、元議員は保管された現金が返済に使われない恐れがあるなどとして19年3月、弁護士に対して全額を自ら管理する別の口座に送金させた上で、東かがわ市京都市で進められていた2件の土地取引の資金に流用したという。

なかなかとんでもない話のようで、国交省からも注意喚起が出されています。

株式会社Wings of Life( WOL )の格納庫について(注意喚起) | 国土交通省東京航空局

行政財産は、国有財産法の規定に基づき、原則として貸し付け、交換し、売り払うこと等はできませんが(国財法18①)、「その用途又は目的を妨げない限度」において、貸付け(国財法1 8②)、使用又は収益の許可(国財法18⑥)を行うことができるとされています。本件については、上記の「注意喚起」にもあるとおり、行政財産の使用許可案件だったようです。

東京航空局は、羽田空港内において国有財産法第18条第6項及び 第19条の規定に基づき「大型格納庫及び附帯施設敷地」として使用許可していた国有財産(土地)・・・について、・・・ 国有財産使用許可の期間更新・・・の申請に対し不許可
・・の決定通知を行ったところです。

貸付けであれば賃貸借契約が締結されますので、当該契約に係る賃貸料は私債権として扱われますが、行政財産の使用料については、地方自治法第231条の3の適用を受けますので公債権となります 。

地方自治法第231条の3第1項

分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他の普通地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者があるときは、普通地方公共団体の長は、期限を指定してこれを督促しなければならない。

さらに、同条第3項の適用は受けないものと解されていますので、

地方自治法第231条の3第3項

普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料、法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入並びに当該歳入に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。

使用料については非強制徴収公債権として位置づけられていることになります。したがって、本件使用料に関して自力執行権は認められず、履行の請求については訴訟手続によることとなります(本件については、使用不許可を不服として滞納している側が訴訟提起してきたようですが。盗人猛々しいというやつですね)。

地方自治法施行令第171条の2

普通地方公共団体の長は、債権・・・について、地方自治法第二百三十一条の三第一項又は前条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。(後略)
一 担保の付されている債権(保証人の保証がある債権を含む。)については、当該債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
二 債務名義のある債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
三 前二号に該当しない債権・・・については、訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

なお、使用を許可するのか貸し付けるのかの判断にあたっては、使用許可を基本としながらも、「堅固な建物その他の土地に定着する工作物を所有」する場合等は、長期安定的な利用をはかるため、貸付けによることとされています(使用許可に関しては、借地借家法の適用を受けないこととされています(国財法18⑧))。今般のケースも、格納庫の底地として使用することを目的としてはいるものの、「当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る」との要件に合致しなかったため、貸付けではなく使用許可とした・・・のでしょうか笑。