徴税吏員の逡巡

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廃棄物が出てきたら

埼玉県富士見市の道路工事現場で、作業中に出てきた廃棄物をそのまま埋め戻した、との記事です。

道路工事現場で産廃埋め戻しか 市職員ら書類送検 埼玉・富士見市|TBS NEWS

本来どうするべきだったのかというと、

廃棄物処理法第5条第2項

土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によつて不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。

ということですから、職員が立ち会っていたということは、一応は通報したことになるのでしょうか(?)。もっとも、一度掘り起こした廃棄物を再度埋めてしまったとのことなので、これは新たな不法投棄となり、措置命令(廃掃法19⑥)の対象になるものと解されます。

こうしたケースは、原因者の特定は困難であることから、廃掃法19の8の規定により、都道府県知事が自ら除去等を行うことができる(代執行)ものとされていますが、

廃棄物処理法第19条の8第1項

第19条の5第1項に規定する場合において、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、都道府県知事は、自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。

2  第19条の5第1項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命じようとする場合において、過失がなくて当該支障の除去等の措置を命ずべき処分者等を確知することができないとき。

未供用の道路用地内の廃棄物が「生活環境の保全上の支障」を生ぜしめるものとは言い切れませんから、知事による代執行の可能性は低いように思われます。

そうなると、民法717条に基づき、土地の所有者である富士見市が撤去を行わざるを得ないものと解されます。

民法第717条

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

この場合、契約不適合責任(未だに瑕疵担保責任と言ってしまいますが笑)の有無が問題になりますが、この点については多くの裁判例があるようで、例えばさいたま地判平成22年7月23日は以下のとおり判示しています。

大量の廃棄物が広範囲にわたって埋設されているという嫌悪すべき事情があり、これに加えて、将来増改築する場合、本件各建物の建築の際のように、地盤改良工事あるいは廃棄物の撤去のために費用を要することも予想されることからすると、本件各土地は、通常有すべき性質を欠いているというべきであり、この意味において瑕疵があるということができる。

道路工事の施工にあたって廃棄物が支障となることは明らかですから、今般の事案においても契約不適合責任が認められる可能性はあると考えますが、他方、公共用地の取得においては、以下のとおり「基本的考え方」が示されており、

https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/01/010330/01.pdf

制度の建て付けとすると、事前に充分な調査を実施して、必要があれば損失補償の範囲内で対応せよ、ということのようです。

同様の事例としては、魚沼市で住民監査請求があった、斎場の外構工事において廃棄物が発見された案件がありますが、やはり土地利用履歴等の調査を充分行うことが望ましい、と付言されています。

https://www.city.uonuma.niigata.jp/docs/2016052300034/file_contents/1.pdf