徴税吏員の逡巡

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用地取得価格を決めるのは?

奈良市が建設中の火葬場を巡って、不当に高い価格で用地を買収したとして、市側が市長及び地権者に対して損害賠償を請求することが確定しました。

火葬場訴訟で奈良市長らに1億円超の賠償請求確定 - 産経ニュース

裁判所のサイトを見ても、まだ判決文は掲載されていないようですが、原告である市民団体のサイトで控訴審の判決文が公開されています。

控訴審 判決、主文、事件概要 - 奈良市新斎苑の用地買収の問題を考える会

奈良市用地取得事務処理要領には、公共事業の施行に必要な用地の取得に当たっては、土地売買価格は不動産鑑定士による鑑定評価額を上限として算定するものとされているとのことですが、判決文によれば奈良市は、二者の鑑定士による鑑定の平均値が5,129万円だったところ、1億6,722万円で契約を締結した、という事案です。

契約に至る経緯について、以下のとおり記載されています。

(地権者から)本件買収地の購入費として6億円くらいはみてほしい、合併特例債を使えないようにしようと思えば、自分にはそのようにできる、鑑定評価額が低ければ、本件買収地を売るつもりはないなどと言われていたこともあって、鑑定評価額を引き上げるため、本件鑑定業者らに対し、公共用地の取得事例を基礎に含めて鑑定するよう要請したこと、しかしながら、本件鑑定業者らから、そのような要請に応じることは困難であると伝えられた…

この鑑定士の職業倫理の高さですよ。それにひきかえ…。

(かつて存在した、「日本○路公団」なる団体は、無茶な価格操作を指示することで名を馳せており、地元鑑定士は仕事を受けたがらない、というウワサを聞いたことがあります。ウワサですよ。)

市側も言い分はあるようですが、地権者との協議において土地価格が争点となっていたことは事実なのですから、土地収用法の規定に基づいて裁決を申請すれば良いでしょう。

このような事例を作ること自体、地権者に「ゴネ得」があると誤認させる材料になります。それだけでも円滑な用地取得が阻害される要因になり得ますから、関係者には猛省を促したいですね。