徴税吏員の逡巡

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交付要求いろいろ

意外と意識してない人もいるのですが、交付要求は「しなければならない」んですよね。

国税徴収法第82条第1項

滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関・・・に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない。

「交付要求は、滞納者の財産に対して強制換価手続が行われた場合において、その手続から滞納国税への交付(配当)を求める手続」(税大講本)ですから、先行している強制換価手続に対して行うものです。しかし、滞納処分による差押えがされている不動産についても、後行の私債権者は競売の申し立てをすることができ、滞納処分の執行機関の同意があれば、競売を続行することができるとされています。

滞調法第13条第1項

滞納処分による差押え後に強制競売の開始決定をした不動産については、民事執行法第四十九条の規定による手続その他売却のための手続は、滞納処分による差押えが解除された後でなければ、することができない。ただし、強制執行続行の決定があつたときは、この限りでない。

この場合、換価権は後行の私債権者に移りますから、滞納処分の執行機関は交付要求をする必要があるわけですが、先行していた滞納処分は(その時点では)失効するわけでも解除されるわけでもありませんので、上掲の82条の規定では、「強制換価手続」が先行の滞納処分を指すのか後行の競売を指すのか判然としません。

そこでこの場合については、滞調法に別に規定を置いて、執行官に交付要求をするべき旨を明示しています(俗に『滞調法の交付要求』と言われます)。

滞調法第10条第3項

強制執行続行の決定があつたときは、徴収職員等は、滞納処分による差押えに係る国税及びその滞納処分費並びに地方税その他の徴収金(以下「差押え国税等」という。)を徴収するには、執行官にその交付を求めなければならない。

他方、差押財産が債権の場合は、滞納処分と強制執行の先後によって義務供託か権利供託となりますが、強制執行が先行している場合は差押えに係る債権の全額について供託義務が生じます。供託された金銭は、配当機関(裁判所)により配当されることとなりますが、この際、滞納処分の執行機関が裁判所に対して債権差押通知書もしくは事情届を提出すれば、滞納処分による差押えの日に交付要求があったものとみなされます(こちらは『みなし交付要求』と呼ばれます)。

どちらの手続にしても、一度実務でやってみると流れが良く分かると思うのですが、教科書で読むだけだと分かりにくいですよね…。