徴税吏員の逡巡

Twitterも見てね! @kt_theif

徴収率に歴史あり

2020年度の千葉県内の市町村税の徴収率(現滞計)が96.2%(前年度マイナス0.3ポイント)となったようです。

令和2年度市町村税の収入額及び徴収率の概要/千葉県

他の自治体でも同様のデータが公表されていますが、ざっと見たところ、千葉県のサイトが内容充実で見やすかったので引用させてもらいました。平成13年度からの徴収率の推移も掲載されています。

f:id:kt_theif:20211002224225j:image

現年・滞繰合わせた合計徴収率を見ると、それまで停滞傾向だった徴収率が平成16年度から上昇に転じ、19年度まで顕著な改善傾向が見られます。これは他の多くの自治体でも見られる傾向で、全国の市町村税滞納残高を見ても、それまでは増加の一途を辿っていた滞納額が、平成15年度を境に減少に転じ、以降18年度まで減少を続けています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000601511.pdf

全国的に滞納額が減少した要因の一つに、平成17年3月29日に策定された「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」が挙げられます。

https://www.soumu.go.jp/iken/pdf/100512_1.pdf

指針には、「7 自主性・自律性の高い財政運営の確保」という項目が設けられており、地方税については以下のとおり明記されています。

三位一体の改革における税源移譲の進展や税負担の公正確保の必要性等を踏まえ、地方税の徴収率の一層の向上に積極的に取り組むこと。また、その他の収入等についても、受益者負担の適正化や徴収率の向上等に努めるなど自主財源の確保に努めること。

さらに自治体に対しては、指針に掲げられた事項について、「可能な限り目標の数値化や具体的かつ住民にわかりやすい指標を用い」た「集中改革プラン」を策定・公表することを要求しています。これを受けて、多くの自治体が集中改革プランにおいて徴収率の目標数値を設定し、滞納処分を中心とした滞納整理を実践することで、徴収率が向上したものと考えられます。

千葉県のグラフをもう少しよく見ると、現年分の徴収率が平成19年度に下落に転じていることが分かります。以降も横ばい状態が続き、98%台を回復するまでに平成23年度までかかっていますが、これは、指針でも触れられている「三位一体の改革における税源移譲」に起因するものと考えられます。

総務省|税源移譲|三位一体の改革の全体像

指針の策定当時、既に国から地方への3兆円規模の税源移譲は決定していました。移譲というと聞こえは良いですが、これは同時に滞納の問題もついてくることを意味しています。滞納残高のグラフを見てみると、平成18年度の住民税滞納残高6,958億円に対し、19年度の滞納残高は8,253億円と、一挙に1,300億円もの滞納増加となったことが分かります。急増した滞納繰越事案の整理に追われ、充分な現年対策が打てなかったとしても、不思議ではありません。また、滞繰分の調定が増加すると、現滞計の徴収率は悪化しますから、20年度以降、合計徴収率も頭打ち傾向となっているのも見てとれます。

千葉県のサイトに掲載されている別のグラフによれば、平成23年度の全国徴収率は93.7%となっており、そこから令和元年度までで約4ポイント(!)上昇させていることが分かります。この間の全国の吏員諸氏の努力に敬意を表するとともに、現在滞納整理に従事する者の一人として、身が引き締まる思いです。