徴税吏員の逡巡

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スマホアプリ納付の根拠

国税庁が、いわゆるスマホアプリ納付の導入時期を2022年12月に延期することを発表しました。

国税納付、スマホアプリ決済導入延期。22年1月→12月 - Impress Watch

僕の新採当時は、納付方法は「銀行に行く」か「役所に行く」の二択でした(口振もありましたけどね)。現在では非効率な訪問徴収も、当時は多少意味合いが違っていたように記憶しています。

歴史を紐解いてみると、平成15年度の税制改正により地方自治法施行令が改正され、「私人に対する収納委託」が制度化されたことにより、コンビニ納付が可能になりました。

地方自治法施行令第158条の2第1項

普通地方公共団体の歳入のうち、地方税・・・については、前条第一項に規定する場合に限り、その収納の事務を適切かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有する者として当該普通地方公共団体の規則で定める基準を満たしている者にその収納の事務を委託することができる。

総務省が公表している「地方税の滞納残高の推移」によれば、バブル崩壊を契機として急増していた滞納残高は、平成15年を境に現象に転じ、税源移譲によって個人住民税の滞納が急増するまでの間、減少傾向が続きました。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000601511.pdf

この間の減少に関しては、各自治体の徴収努力に依るところが大きいことと思いますが、コンビニ納付の拡充も一定の貢献をしたものと考えます。

一方、クレジット納付に関しては、コンビニのように単に収納するのではなく、利用者の依頼に基づいてクレジット会社が「代理納付」する形態となります。これが「指定代理納付者制度」として制度化されたのは平成18年度の税制改正。根拠は地方自治法第231条の2第6項になります。

地方自治法第231条の2第6項

普通地方公共団体は、納入義務者が、歳入の納付に関する事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち当該普通地方公共団体の長が指定をした者・・・が交付し又は付与する政令で定める証票その他の物又は番号、記号その他の符号を提示し又は通知して、当該指定代理納付者に当該納入義務者の歳入を納付させることを申し出た場合には、これを承認することができる。

記事で触れられている令和3年度の税制改正により創設された制度が、「指定納付受託者制度」です。新たな制度では、コンビニ納付については、従来の収納のみの委託とは異なり、「歳入等の納付の通知に係る書面であってバーコードの記載があるものを提示することにより、指定納付受託者に納付を委託する」と位置付けられています。また、「クレジットカードの番号及び有効期限その他当該クレジットカードを使用する方法による決済に関し必要な事項」若しくは「電子情報処理組織を使用して番号、記号その他の符号を通知する方法による決済(スマホアプリによる決済)に関し必要な事項」を指定代理納付者に通知することにより納付を委託することができることとされました。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000749188.pdf

この改正によって、コンビニ納付、クレジット納付及びスマホ決済の根拠法令が統一化されることになりますので、「私人に対する収納委託」及び「指定代理納付制度」については、可能な限り早期に「指定納付受託者制度」に移行することが求められています。

納付チャネルの拡充は徴収率の向上にも寄与するものと考えられますので、徴税吏員としても歓迎するところですね。