徴税吏員の逡巡

Twitterも見てね! @kt_theif

参加差押えと二重差押え

「参加差押え」って、名前が良くないと思うんですよねえ…。

国税徴収法第86条

税務署長は、第四十七条(差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされているときは、当該財産についての交付要求は、第八十二条第一項(交付要求の手続)の交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付してすることができる。

「当該財産についての交付要求は・・・参加差押書を・・交付してすることができる」と規定されていますので、参加差押えは交付要求の一形態に他ならない、ということになります。交付要求ですから、強制換価手続が実行された場合に配当を受けられる効力がありますし、同時に差押えの順位を保全する効力があります。

国税徴収法第87第1項

参加差押えをした場合において、その参加差押えに係る財産につきされていた滞納処分による差押えが解除されたときは、その参加差押え・・・は、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に定める時に遡つて差押えの効力を生ずる。

この場合、先行する差押えが解除された時点で、参加差押書による交付要求は失効することになります。

国税徴収法基本通達第82条関係8(1)

交付要求は、その交付要求を受けた執行機関の滞納処分又は強制執行(担保権の実行としての競売を含む。以下同じ。)の手続が解除され、又は取り消された場合には、その効力を失う。

ちなみに参加差押えは、不動産のほか、「動産及び有価証券」「船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶」及び「電話加入権」についても行うことができるとされていますが、動産・有価証券については見たこともありませんし、電話加入権に関しては換価価値がなくなって久しいので、実務上は「登記(登録)ができる財産については参加差押えができる」と考えて良いのではないでしょうか(自動車は一度だけやったことがあります)。

他方、二重差押えについては、国税徴収法基本通達に規定があります。

国税徴収法基本通達第62条関係7

滞納処分による差押えがされている債権(金銭の支払を目的とするものに限る。以下7において同じ。)に対する滞納処分による差押え(以下7において「二重差押え」という。)については、次に掲げるところによる。

(1) 既にされている差押え(以下7において「先順位の差押え」という。)が債権の全部又は一部についてされているかどうかを問わず、原則として、債権の全部について二重差押えを行うものとする(昭和33.10.10最高判、昭和32.7.2福岡地決参照)。

二重差押えは、金銭の支払いを目的とした債権についてのみ行うことができるものですが、換価権がなく、第三債務者が先行の差押えに係る執行機関に全額履行した時点で失効するものとされています(上記通達(2))。よって、それ単体では差押えの順位保全の効力しかなく、先行の差押えが解除されて初めて取立てをすることができるようになるものと言えます。したがって、二重差押えをしたときは、併せて先執行機関に対する交付要求をすることとされています(上記通達(4))。

上記通達のとおり、二重差押えは「行うものとする」とされていますが、交付要求については「しなければならない」ので(徴82①)、二重差押えだけをする、というケースはありませんが、意図的に交付要求だけをする、ということはあります(特に私債権と競合する場合ですね)。交付要求書は原則として必ず執行機関に送達されますが、二重差押えについては後行の執行機関しだい、ということになりますので、二重差押えについては、先執行機関に対する通知は不要(交付要求書に二重差押えを行った旨を付記)とされています。