徴税吏員の逡巡

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公の施設の利用は拒めるのか

不届きなイベントに対する、常滑市の抗議文が話題になっています 。

http://www.city.tokoname.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/300/210830.pdf

「努力を踏みにじる」「多大な迷惑を被っている」など、行政が発する文書としては異例とも言える強い表現を使っていますので、 上層部を含め、相当怒っていることがうかがえます。

最後も奮っていますね。

なお、本イベントはかつて市施設で開催されたことがあり、その際にもトラブルが発生したと承知している。このような事態を招くものである以上、市施設での開催は一切認めないものとする。

やはり気になるのは「市施設での開催は一切認めない」の部分です。

地方自治法第244条では、公の施設の利用について以下のとおり規定しています。

普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。) を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

利用を拒むには、「正当な理由」が不可欠とされており、常滑市に おいても「正当な理由」を具体化するために条例に以下の規定をおいています。

常滑市りんくう海浜緑地の設置及び管理に関する条例第3条

 海浜緑地において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則の定めるところにより、市長(指定管理者が管理運営をしている場合にあっては、指定管理者。次項において同じ。)の許可を受けなければならない 。許可を受けた事項を変更しようとするときも同様とする。

 (1) 物品販売、募金その他これに類する行為をすること。
 (2) 業として、写真、映画の撮影その他これに類する行為をすること。
 (3) 興行を行うこと。
 (4) 競技会、展示会、集会その他これに類する催しを行うこと。

2 市長は、前項各号に掲げる行為が公衆の海浜緑地の利用に支障を及ぼさないと認める場合に限り、当該区域を定めて同項の許可を与えるものとする。

この「正当な理由」の判断基準に関しては判例の蓄積があり、上尾市社会福祉会館事件(最判平成8年3月15日)

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/875/055875_hanrei.pdf

や、泉佐野市民会館事件(最判平成7年3月7日)

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/449/052449_hanrei.pdf

が挙げられることが多いようです。

たとえば上尾市社会福祉会館事件では

「会館の管理上支障があると認められるとき」を本件会館の使用を許可しない事由として規定しているが、右規定は、会館の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的
な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて、本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと解すべきである。

と判示していますし、泉佐野市民会館事件においても、

「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは、右会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、右会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、・・・、右事由の存在を肯認することができるのは、そのような事態の発生が許可権者の主観により予測されるだけではなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合でなければならないことはいうまでもない。

としています。両判決に共通している「客観的事実に照らして具体的に明らかに予測される場合」との要件に鑑みれば、「一切認めない」根拠はどこにあるのか、疑問と言わざるを得ません(主催者を擁護するつもりは微塵もありませんが)。