徴税吏員の逡巡

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過料と滞納処分

石川県が、まん延防止等重点措置に伴う営業時間短縮命令に違反したとして、金沢市内の9店舗に過料を科すよう求める通知書を金沢地裁などに送付したとのニュースです。

石川県が金沢市の9店に過料通知 コロナまん延防止措置伴う時短命令違反で 6月14日発表 | 社会,医療 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE

営業時間短縮の命令については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくものですが、命令に対して違反行為をした場合の罰則が、同法第80条第1項に規定されています。

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二十万円以下の過料に処する。

一 第三十一条の六第三項の規定による命令に違反したとき。

記事にもあるとおり、法律に基づく過料については、都道府県知事が裁判所に対して通知を行い、実際の執行は裁判所の命令に基づくことになります。

他方、地方自治法に規定されているとおり、地方公共団体は条例・規則によって過料を科す旨の規定を設けることができるとされています。

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮こ、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

条例に基づく過料が期限までに納付されない場合は、地方自治法第231条の3第3項の規定により、滞納処分の例により強制的に徴収することができます。

普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料、法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入並びに当該歳入に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。

実務はどうするんだろうと思って検索してみると、「熊本市過料の滞納処分に関する規則」に行き当たりました。

熊本市過料の滞納処分に関する規則

熊本市では同規則により、過料の徴収に関する事務に従事する市職員のうち指定する者に対して、過料の滞納処分に係る職務を委任するとしています。この「滞納処分職員」として指定された職員が、財産調査、質問検査及び差押えを行う、という建て付けのようです。

徴税吏員に与えられた権限の大きさに鑑みれば、日常、税業務に従事しない職員に対して権限だけを与えるという取扱いには違和感を覚えます。「必要な事項は市長が別に定める」とのことですが、税法上の守秘義務の適用についても判然としません。

過料を科すこと自体がそれほど頻繁にあるケースでもないでしょうから、首長の決裁により滞納処分を行うことも不可能ではないと考えます。職員を指定して権限を与える(責任を負わせる)必然性は薄いように思います。