徴税吏員の逡巡

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継続債権の差押えは解除するのか

一旦整理しようと思い立ちました。

差押えの解除については国税徴収法の79条に規定があります。

第79条 

徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。

1 納付、充当、更正の取消その他の理由により差押えに係る国税の全額が消滅したとき。

ここで言う「納付」とは自主納付を、「充当」とは還付充当をいう、とされている、とTwitterには投稿しましたが、「その他の理由」を見落としてました。

国税徴収法基本通達第79条関係4

法第79条第1項第1号の「その他の理由」とは、差し押さえた金銭又は交付要求による交付を受けた金銭を差押えに係る国税の全額に充てたこと、法第129条第1項«配当の原則»の規定により差押えに係る国税に配当された金銭をその国税の全額に充てたことその他免除、法律の規定の変更等により差押えに係る国税の全額が消滅したことをいう。

債権を差し押さえるときは、原則としてその全額(給料であれば差押禁止額を控除した額)を差し押さえることとされていますので、取立て→配当により滞納税が消滅した場合は、(滞納金額を超える部分にも差押えの効力が及んでいるので)差押えを解除しなければならないということになります。

国税徴収法第63条 

徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。

 

他方、但書に「全額を差し押さえる必要がないと認めるとき」とありますが、これについては、国税徴収法基本通達第63条関係2に規定されています。

法第63条ただし書の「その全額を差し押える必要がないと認めるとき」とは、次に掲げる要件を満たすときをいうものとする。

(1) 第三債務者の資力が十分で、履行が確実と認められること。

(2) 弁済期日が明確であること。

(3) 差し押さえる債権が、国税に優先する質権等の目的となっておらず、また、その支払につき抗弁事由がないこと。

僕自身は、遠い昔に受けた研修で「実務上該当するのは預貯金だけ」と教わった記憶がありますが、現在の弊社の取扱いでは、給料の差押えについても一部差押えを行なっています。

この場合、債権差押通知書の「差押債権」欄に、「ただし滞納金額に満つるまで」等と記載することにより、一部の差押えである旨を明らかにしています。

 

さて、弊社のように「滞納金額に満つるまで」として差し押さえた場合は、解除するのかどうかが問題になります。

全額を差し押さえた場合と異なり、滞納金額を超える部分については差押えの効力が及んでいませんから、そもそも解除するも何もありません。最後の取立てによって、差押えに係る債権は全て消滅したものと解されますので、解除するまでもなく、差押えは効力を失います。

しかしながら、第三債務者から事務の都合上解除通知を要望されるケースは多いですし、他の執行機関が二重差押えを行っていた場合、後行の執行機関は取立開始のタイミングが分からない、ということになってしまいます。

そこで、実務上は(便宜上の)解除通知書を送付している、という自治体が多いのではないでしょうか。