徴税吏員の逡巡

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新たに徴税吏員となる方へ その2

僕自身も「徴税吏員」として首長からの委任を受け、「徴税吏員証」を携行して業務に当たっていますが、さて、徴税吏員とはどのようなものなのでしょうか。

徴税吏員の定義は、地方税法第1条第1項に規定されています。

3 徴税吏員 都道府県知事若しくはその委任を受けた都道府県職員又は市町村長若しくはその委任を受けた市町村職員

首長と、その委任を受けた職員が同列で徴税吏員として規定され、税法上様々な権限が与えられているわけですが、中でも重要なのが「滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る租税を完納しないとき」は、滞納者の財産を「差し押さえなければならない」としている(地税68①他)「自力執行権」です。

自力執行権は、債務不履行があった場合に、債権者自らが強制手段によって履行の効果を実現させるための権限ですが、私法取引においては、債権者による自力執行は原則として禁止されています。

私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によつたのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。
最判昭和40年12月7日)

租税債権の場合は、その徴収が大量性・反復性を有し、徴収のために煩雑な手続を要求することは困難であること及び債権としての特殊性(法律に根拠を求めるが故に、債務者の事情や債務の内容を、債権者が選択することができない)を考慮して、徴税吏員に自力執行権が与えられています。

 

地方税法においては、「徴税吏員」に対して様々な権限が付与されていると書きましたが、この権限の中には、地方団体の長において行うべきものと、個々の職員が自らの資格において単独で行って差し支えないものがあります。

地方税法の文言上は、必ずしもそのような区分が明確にはなっておらず、各自治体の条例において、徴税吏員の職務権限が規定されているところが実態であると思います。

自力執行権即ち滞納者の財産を差し押さえる権限については、決裁権者の決裁を受けることとされているのが一般的かと思いますが、例えば預金調査のために金融機関に臨場し、口座に預金を発見した場合などは、決裁を待たず、徴税吏員の判断で即時差押えを行っている自治体も多いと思います。
差押えは先着手、つまりは早い者勝ちなので、機動的対応をすることが重要ですが、同時に自らの判断で滞納者の財産を差し押さえることができる、という権限の重さを、常に認識する必要があると思います。