徴税吏員の逡巡

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猶予制度は何処へ向かうのか

コロナウイルス感染拡大に伴う地方税法の徴収猶予の特例措置は、令和3 年2月1日までに納期限が到来する地方税が対象とされていました。つまり特例が適用される期間は終了したわけですが、引き続き「柔軟かつ適切な対応」をするよう、総務省から通知が出されています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000728769.pdf

 

この特例が設けられる前においても、地方税法第8節(第15条から15条の9)において、納税の猶予に関する規定が置かれていて、ざっくり言うと、災害や盗難・病気、事業廃止等により納付ができない場合は「徴収の猶予」、生活困窮や事業継続を理由とする場合は「換価の猶予」を適用することとされています。

特例による猶予については、「一定の期間(1か月以上)において 収入が大幅に減少(概ね20%以上の減)した場合」との要件が定められていたほか、

①担保の提供が不要

②延滞金は全額免除

③提出書類の簡略化

など、納税者が容易に猶予制度を利用できるよう、措置が講じられていました。

 

ただ、延滞金を免除して1年間徴収を猶予するということは、別の言い方をすれば「来年2年分納めてくださいね」ということなので、特に個人のお客様などは「なんだ、免除じゃなかったのかよ、ケッ!」とおっしゃって、申請自体をなさらないケースも多く、実際総務省の統計においても、税目別に見ると全体の半数弱を法人二税が占めています。

総務省|新型コロナウイルス感染症に係る地方税の「徴収猶予の特例」の適用状況(令和2年4〜11月分)

そのせいかどうかは不明ですが、2021年度税制改正において、特例の延長を求める声もあったものの、資金繰りに苦しむ個人事業主や企業の支援は実質無利子・無担保融資で対応すべきだとの意見が多く、延長が見送られた経緯があります。

納税猶予、2月1日申請終了 コロナ対策、1年間の特例:時事ドットコム

 

さて、前掲の総務省通知においては、「柔軟に」「適切に」との表現ばかりで、具体的な対応方法については言及がありません。

この点、現場が混乱する原因になるような気もしますが、行間を読むとすれば、「特例措置は終わったけど、引き続き同じように扱おうよ」ということなのでしょう。と、なると、上記①〜③の措置について、地方税法第15条以下の規定による猶予についても適用させる、ということになります。

①については、担保の徴取については条例規定事項であるので、自治体の税条例の中に「特別の事情があるときは担保を徴さない」旨の規定があれば問題ありませんし、②についても、延滞金については原則2分の1免除ではありますが、裁量免除の規定(地税15の9②)があるので、全額免除とすることも制度上は可能と解されます。

問題なのは③で、特例猶予に係る申請書については、総務省が様式を作成し、これを使用するよう各自治体あて指示があったのですが、当該様式には「地方税法附則第59条第1項の規定により、以下のとおり徴収の猶予を申請します」との記述があるのです。

附則59条の適用を受けられるのは「特定日(令和3年2月1日)まで」と規定されていますので、15条以下の規定により猶予の申請をする場合は、特例の様式によらず、従来の猶予申請書を使用する必要があるでしょう。添付書類の簡素化についても、(総務省通知には『柔軟に』とされているものの)今ひとつ根拠がハッキリしないので、原則どおり提出を求める方が無難な気もするのですが…