徴税吏員の逡巡

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そんなにカフェラテが飲みたかったのか

 熊本市の職員が、コンビニエンスストアでカフェラテを盗んだとして懲戒免職処分を受けました。

100円で200円のカフェラテ注ぐ 熊本市が職員処分:朝日新聞デジタル

処分が厳しすぎる、との声もあがっているようですが…

 

公務員の非行については、地方公務員法29条1項3号の規定により、「懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分」の対象とされていますが、どのような懲戒処分が科されるかについては、各行政機関が定める「懲戒処分の指針」に依拠しているようです。

熊本市の「懲戒処分の指針」によれば、確かに「他人の金品を盗んだ職員は、免職又は停職とする。」と規定されていますが、具体的な処分内容の決定にあたっては、

(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
(5) 過去に非違行為を行っているか。

等の点ほか、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等についても考慮のしたうえで判断することとされています。

https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=29857&sub_id=1&flid=216712

 

既往の判例においては、

懲戒処分を行うかどうか及び懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されており、懲戒権者が同裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべき

と判示されています(最判昭和52年12月20日)。

妥当性・裁量権逸脱の有無等については、やはりケースバイケースとなっているようですが、「社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したものというべきであって、違法なものとして免れないというべき」と判示した例として、大阪地判平成24年1月16日があります。

 

その理由としては、

①被害額が少額だったこと(766円)。

②直後に原告の夫により商品の代金が支払われ、原告が本件行為発覚直後から事実を素直に認め、反省の態度を示していること。

③本件処分後、被害店舗の店長が原告に対する寛大な処分を求めて嘆願書を提出していること。

④原告は、本件処分以前には処分歴はなく、同僚からは、真面目で生徒の指導に熱心に取り組んでいるとの評価も受けており、勤務する高校の常勤教職員63名から、寛大な処分を求めて嘆願書が提出されていること。

などが挙げられ、懲戒免職によって教職員としての地位及び教員の資格を失うことになることに加えて、退職金の受給資格をも喪失することとなり、原告が受ける打撃は極めて大きいことを考慮すると、本件処分は重きに失するものといわざるを得ない、と判示しています。

 

今回のケースで、処分を受けた職員が不服を申し立てるかは不明ですが、ちょっと司法判断を見てみたい気もしますね。