徴税吏員の逡巡

Twitterも見てね! @kt_theif

過誤納金の消滅時効

米沢市による固定資産税の課税ミスについて、調査が進んでいるようです。

米沢市の課税ミス2553人、234万円に(山形新聞) - Yahoo!ニュース

内容については、米沢市が分かりやすい資料を作成しています。

https://www.city.yonezawa.yamagata.jp/secure/7404/koteikazeiayamari.pdf

 

他の自治体においても、一昨年くらいから同様の事案が報告されていますが、その後の対応については自治体間で差があるようです。

米沢市は、01年以降、同様のミスが発生していた、としていますが、(請求権の消滅時効が成立する)14年度以前の対応については、「作業の進捗により別途検討」とコメントしています。

一方、昨年10月に発覚した伊賀市の事案においては、「要綱に基づいて国家賠償請求の最大期間と同じ20年分を返還する方針」とされていて、課税台帳が残っている期間については原則還付、それ以前の期間に関しても、納税者側から領収書等の提示があれば還付に応じるとしています。

固定資産税を23年間過徴収 伊賀市 | 【伊賀タウン情報 YOU】

 

地方税法第18条の3によれば、過誤納による請求権は、「請求をすることができる日から5年を経過したときは、時効により消滅する」とされていますが、行政庁の道義的責任や信頼回復などの観点から、本来還付することができない過誤納金について、別の形で支払を行うこととしている自治体も出てきています。

たとえば久慈市では、「固定資産税等過誤納変換金支払要綱」を定め、還付できない過誤納金については地方自治法第232条の2の規定に基づき、「固定資産税過誤納返還金」を支払うこととしています。

固定資産税等過誤納返還金支払要綱

 

232条の2は、公益上の必要がある場合の寄付または補助についての規定ですが、相手方が
何らかの事業を遂行するわけではないので補助には該当しないでしょうし、特定個人への寄付というのもシックリこない気がします。
そもそも、地方税法が還付請求権の消滅時効期間を規定しているにも関わらず、当該期間を超えてまで実質的な還付を行う旨の要綱を制定すること自体、租税法律主義(合法性原則)との整合はとれているのかという疑問は残りますし、なんとなれば地方自治法第2条第16項により要綱自体が無効であるという考えも成り立ちます。


こちらが間違っているのに、5年以上は遡りませんよ、というのは、一見すると乱暴な理屈のように見えますし、納税者の理解を得られるのか、という危惧はありますから、何らかの手だては必要であると考えます。

ただ、現行制度上は国家賠償法による損害賠償請求しかないんじゃないかなあ、とは思います。ちなみに、最判平成22年6月3日は、

公務員が納税者に対する職務上の法的義務に 違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るも のと解すべきである。

として、国家賠償法 に基づく損害賠償請求をするにあたり、行政処分の取消しないし無効確認は必要がない旨を判示しています。